離乳食2回食=中期は間違い?回数と形態の進め方を専門家が解説
― 回数と食形態は「別」で考える、離乳食支援の新常識 ―
「2回食=中期食ですよね?」
保護者や支援者の間で、今も根強いこの誤解。
しかし、離乳食の“回数”と“食形態”は本来、切り離して考えるものです。
この誤解の背景には、月齢の目安と回数、そして食形態がひとまとめで語られてきた従来の伝え方があります。
しかし、2019年に改訂された厚生労働省・農林水産省『授乳・離乳の支援ガイド 第2版』では、離乳食の進め方について
月齢や回数の目安は参考にしつつも、
子どもの発達状況をみながら進めることが重要
と明記され、「10倍粥・7倍粥・5倍粥」といった粥の硬さによる段階表示も廃止されました。
つまり、今のガイドラインが示しているのは、回数と食形態を機械的に結びつけるのではなく、その子の発達に合わせて形態を判断するという考え方です。
回数は「リズム」、形態は「発達」
― まず離乳食は「栄養」より“トレーニング”―
WHO(世界保健機関)の補完食ガイドラインでは、生後6~8か月頃の補完食から得られるエネルギーは
必要量の一部にすぎず、
母乳やミルクが主要な栄養源である
と示されています。
『授乳・離乳の支援ガイド』でも、離乳初期は摂取量の確保より、食べる機能を獲得する時期と位置づけられています。
つまり、この時期の離乳食は、
「たくさん食べさせる」ことが目的ではなく、
✅スプーンを唇で受け取る
✅舌で感じる
✅口の中で動かす
✅飲み込む
そんな“食べる練習=お口のトレーニング”の意味合いがとても大きいのです。
離乳食の回数は、授乳リズムや生活リズムとのバランスの中で考えるもの。
一方で、食形態は、口の動きや姿勢など、
口腔機能と身体発達を軸に判断するものです。
だから、
生活リズムとして1日2回トライしている
そんな進め方も、
発達支援の視点ではまったく問題ありません。
「2口しか食べなかった…」それでも大丈夫?
― 1回量が少なくても、経験回数を重ねることの意義 ―
午前中、2口で終わってしまいました。
ほとんど食べてないけど、午後もあげてはだめですよね?
こんな相談もよくあります。
結論:OKです
『授乳・離乳の支援ガイド』では、
子どもの食欲や体調に応じて、無理なく進める
とされ、離乳初期の1回量の下限は示されていません。これは、量よりも「経験」そのものに意味がある時期だということ。
だから、短時間・少量でも、回数を増やして“食べる経験”を重ねることは、発達支援として十分に意味があります。
2回食になったからといって、すぐに中期の形態に進めなければならないわけではありません。
離乳食では、「回数」と「食形態」は別で考えることが大切です。
うまく行かなかった日は、2回挑戦することも大いにOK.
順序の柔軟性
― 授乳が先でもOK
―食形態を進める目安は「口」と「からだ」―
離乳期においては、母乳・ミルクは重要な栄養源であるため、離乳食と授乳の順序に絶対的な正解はありません。
ガイドライン等では、乳汁(母乳・ミルク)は赤ちゃんの欲するままに与えることが基本とされています。
ですから、
・空腹で機嫌が悪く離乳食に取り組めない
・口に入れる前から拒否反応が強い
といった場合には、先に授乳してから離乳食にするという進め方も、発達支援や安心感という視点では十分妥当です。

しかしながら、保育等の支援現場でも、「2回食=中期食」と同じように、
「離乳食が先で、ミルク(授乳)は後」という順序という“思い込み”の考え方に出逢います
「先にミルクをあげたら、離乳食を食べなくなるのでは?」
「お腹を空かせてからじゃないと、練習にならないのでは?」
そんな不安から、
離乳食を“何とか先に食べさせよう”と頑張っている保護者の方も少なくありません。
でも、離乳食は、赤ちゃんにとって栄養をしっかり摂る時間というより、
“お口のトレーニング”の時間。
回数や形態と同じように、
順序にも「これが絶対」という正解はありません。
もし、
✅2回食にしたけれど、ほとんど食べない
✅空腹で泣いてしまい、椅子に座るのも難しい
✅口に入れると嫌がってしまう
そんな様子があるなら、
先に授乳をしてから離乳食という進め方も、十分に選択肢です。
強い空腹や不快がある状態では、
舌や唇、頬を使って「咀嚼嚥下」といった動きを引き出すのは難しくなります。
まず授乳で気持ちと体が落ち着くことで、
“食べる練習ができる状態”が整い、結果としてお口のトレーニングがうまくいくことも多いのです。
保育現場では、
「離乳食のあとにミルク」が一つの型として定着していますが、それがすべての赤ちゃんに当てはまるわけではありません。
食べることに負荷がかかりやすい子、環境の変化に敏感な子にとっては、授乳→離乳食の順序のほうが、安心して取り組める場合もあります。
2回食になったから中期。
離乳食が先で、授乳は後。
そんな“型”に合わせることよりも大切なのは、その子の発達と、その日の様子に合わせて、回数・形態・そして順序を選ぶこと。
離乳食は、赤ちゃんがこれまで知らなかった「食べる」という新しい世界への一歩。
私たち支援者や大人が、何を軸に考えるかで、赤ちゃんの取り組みやすさも、保護者の安心感も、大きく変わってきます。
まとめ
―発達を軸にした支援が、安心につながる―
「2回食になったのに、まだ初期で大丈夫かな…」
そんな不安に対して、
今は“回数”としては2回、
でも“形態”はお口の発達に合わせてこのペースで大丈夫ですよ。
と、根拠をもって説明できること。
それが、支援者の専門性であり、ママの安心につながります。
厚労省の「授乳離乳支援ガイド」でも
その子の発達や舌・姿勢の使い方(口腔機能)を観察しながら形態を調整するという考え方が現代の支援の基本です
ことが示されています。
2回食 ≠ 中期食
2回食という回数は離乳中期の回数の目安であり、
食形態そのものを示すものではない
このことから、
2回食=中期食ではないことが、自然と見えてきます。
目の前の赤ちゃんの
「今できること」を大切にする離乳食支援が、
赤ちゃんにも、ママにも、そして私たち支援者にも、いちばんやさしい進め方なのかもしれません。
現場で使える
“根拠ある支援”を
こども保育支援協会保育食支援士2級講座では、
✅厚労省「授乳・離乳の支援ガイド
✅WHO補完食ガイドライン
✅口腔・姿勢発達の基礎
✅現場で迷わない支援の組み立て方
こうしたエビデンスを土台にした実践支援をお伝えしています。
正解探しの離乳食から、
軸をもって寄り添える支援へ。
講座は毎月開催中です。
ぜひ、現場で活かしてみてください。
参考文献
- 厚生労働省・農林水産省『授乳・離乳の支援ガイド 第2版』(2019年)
https://www.mhlw.go.jp/content/11908000/000496257.pdf -
WHO補完食ガイドライン(原文)
“Breast milk continues to be a major source of energy and nutrients during the complementary feeding period.”
“For infants aged 6–8 months, complementary foods provide only a small amount of total energy needs, with breast milk remaining the primary source.”
→ 補完食(離乳食)は、母乳(ミルク)を主要栄養源として補完するものであり、初期は主要な栄養源としての役割が小さいことを示す。
この記事を書いた人
執筆:三井 眞理子(みつい まりこ)
一般社団法人こども保育支援協会 代表理事/管理栄養士
保育食支援士を立ち上げ、現場に寄り添う知識を発信。保育園・行政・医療機関での栄養支援経験をもとに、「食を通して子どもの発達を支える」専門家育成に取り組む。
保育士・栄養士・看護師向けの研修や講座を多数実施。
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